マニアックな記事にようこそ。今回は心拍測定方法の違いについて検証してみました。結論としては光学式で充分ということ。
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2つの方法で心拍測定して比較してみた
心拍測定方法の違いがどれぐらい精度に影響するのか気になったので、両腕にSUUNTOを付けて走ってきました。3回も。
使用機器
タイプの違う心拍測定計を同時に使いました。
- SUUNTO SPARTAN SPORT WRIST HR:光学式心拍測定
- SUUNTO AMBIT 2+心拍ベルト:心拍センサー式心拍測定
光学式心拍測定が手首で測定するタイプ。腕時計単体で測れる手軽さがメリットです。最近のライフトラッキング機能のあるスマートウォッチ、フィットネスウォッチは基本的にこの方式です。
一方、心拍センサー式は胸にセンサーとなるベルトを巻いて測定します。詳しくは後述します。
測定結果
3回走って、各キロ時点の心拍数をグラフにしました。キロ毎の平均ではないのでご注意を。
6kmランニング1回目
平均心拍
138bpm @ SPARTAN SPORT
134bpm @ AMBIT 2
若干ですが、SPARTAN SPORTの平均心拍が高い結果となりました。違いが顕著な2km地点を含め、序盤で心拍数に差が出て、それが全体の平均に影響しています。後半は大きな差はありません。
6kmランニング2回目
平均心拍
131bpm @ SPARTAN SPORT
125bpm @ ABMIT 2
こちらも1回目と同様、序盤で差があり、それが平均の違いとなっています。
フルマラソン
の平均心拍
175bpm @ SPARTAN SPORT
173bpm @ ABMIT 2
ここでもSPARTAN SPORTの方が平均心拍は高くなりました。ただ平均での差はほとんど無いと言えるレベルです。グラフでは心拍数が乖離して見える部分もありますが、6km地点以外は全て±5bpmの差に収まっています。
測定結果からの結論:大差なし
実測値での比較から、
光学式心拍計は序盤で心拍数が高く出る傾向があるが、練習全体を通してみれば心拍センサーと同等の測定性能を発揮している
と言えそうです。
そもそも何が違うのか
原理的には心拍センサー式の方が心拍数の精度は高くなります。
原理の違い
心拍センサーはその名の通り、心拍を測定しています。電極の付いたベルトを胸に巻くことで、心臓が発する電気信号を拾って心臓の動きをリアルタイムで追っています。そして、心拍と心拍の間隔からbpm、つまり1分間での心拍数を計算しています。
一方の光学式ですが、こちらは手首に光を当て、その光の反射度合いを見て血流量を測定しています。意味がわかりませんよね。でもそういう仕組みなので、定期的にビカビカと緑の光を放ちます。そしてその血流量を測定し、「この血流量だったらこれぐらいの心拍だな」と心拍数を推定しています。
精度
心拍センサーはまさに心拍を測定し、1分間の心拍数を計算しています。一方で光学式は手首の血流量を測定し、心拍数を推定しています。ですので精度的には直接心臓を見ている心拍センサーに優位性があります。
光学式は身に付けやすいというメリットがある一方、同時に計測器(=腕時計)が動きやすいというデメリットもあります。光を発してその反射を見るのですが、腕時計が緩かったり腕が激しく揺れていると反射した光をうまく拾えない為に、血流量を読み取る精度が落ちる場合があります。
また寒くて体が温まっていないと腕の血流量が少なくなり、心拍数の精度に影響します。上で測定した6kmランの際は12月の寒い時間にウォーミングアップなしで走ったので、序盤の精度が出なかったのでしょう。フルマラソンの際はしっかりアップをしたので、序盤から心拍センサー式と同様の心拍数になったと考えられます。
ただし、今回のランニング測定結果で見たように、心拍センサー式と光学式の差は深刻な程大きくありません。よほどシリアスにトレーニングをしない限りは「心拍センサー式の方が…」と気にする必要はないでしょう。
まとめ
精度的に大きく違わなかったので安心しました。Apple Watchでも試しておけば良かったですね。今度は最大心拍数を測ってみます。